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【議論の型がない組織は、感情で止まる】選挙報道から見えた、ルール設計の必要性

選挙後のSNSに見えた「判断基準への飢え」

2026年2月8日の衆議院選挙。

悪天候な1日でしたね。

翌日、私が投稿したXの選挙結果の整理に、普段より多くの閲覧があった。

内容は「高市人気」「野党分裂」「低投票率」といった
要因を6つに分けて並べただけだ。

特定の政党を支持するわけでも、誰かを批判するわけでもなく、
ただ「なぜこうなったのか」を整理しただけ。

それでも反応があったのは、
多くの人が判断するための基準を求めていたからだと思う。

選挙後のSNSは感情で溢れていた。
怒り、失望、歓喜。それ自体は自然な反応だ。

しかし同時に「何が起きたのか」を冷静に整理したい人も、確実にいた。
私が提示したのは、そのための補助線だった。

そして、この構造は組織の会議でも全く同じだと気づいた。

組織でも同じことが起きている、判断基準がないまま議論が始まる。

経営会議や事業レビューの場でよく見る光景がある。

「今期の売上、目標未達でしたね」
「それは営業部長の戦略ミスでしょう」

ここで議論は止まる。

なぜか。判断するための基準が共有されていないからだ。

未達の原因は、戦略か、実行か、外部環境か
「戦略ミス」とは、どの判断プロセスを指しているのか
そもそも、何をもって「ミス」と評価するのか

これらが曖昧なまま、「誰が悪いか」だけが議論の中心になる。

選挙後のSNSで「◯◯党がひどいから負けた」という
感情的な投稿が溢れたのと、全く同じ構造だ。

議論の質は、知識量ではなく「型」で決まる

優秀な人材を集めれば、議論の質が上がるのか。
答えはノーだ。

どれだけ優秀な人が集まっても、
議論の型が共有されていなければ、感情が前に出る。

選挙報道を見て気づいたのは、
多くの人が求めていたのは「正解」ではなく
「整理のルール」だったということだ。

  • なぜこうなったのか(要因の分解)
  • 何が起き、どこに問題があったのか(事実と評価の分離)
  • 次にどうするか(行動の設計)
  • この順番を守るだけで、議論は感情から離れ、建設的になる。

    しかし、この「型」が組織に共有されていないケースは驚くほど多い。

    型がないと、何が起きるか
    型がない組織では、以下のような現象が起きる。

    ① 結果目標と行動目標が混同される

    「売上を上げろ」という指示は、結果目標だ。
    しかし、それを達成するための行動目標(何をするか)が設定されていない。
    結果、メンバーは「何をすればいいのか分からない」まま動き、
    失敗したときに「結果が出なかったお前が悪い」と責められる。

    役割批判と人格攻撃が区別されない

    「部長としての判断プロセスに問題があった」という役割批判と、
    「あの人は能力が低い」という人格攻撃。
    この区別がないまま発言されると、受け手は防衛モードに入る。
    議論は止まり、感情的な対立だけが残る。

    感情と評価が分離されない

    「期待した結果が出なかった」という感情と、
    「なぜそうなったか」という評価。
    この2つが混ざると、分析ではなく感情の正当化が始まる。

    若い世代の「批判回避」と、組織の硬直化

    最近、特に若い世代に見られる傾向として
    「批判すべきではない」という空気がある。

    今回の選挙後のSNSでも、内容の良し悪しに関わらず
    「批判的な投稿を見たくない」という反応が一定数あった。

    この傾向が職場に持ち込まれると、別の問題が起きる。

    上司の指摘を「人格否定」として受け取り、マネジメント層は何も言えなくなる。

    結果、組織の改善サイクルが回らなくなる。

    ここで必要なのは「批判を避けること」ではなく、
    批判のルールを明確にすることだ。

  • 批判の対象は「人」ではなく「役割と行動」
  • 批判は感情ではなく、判断基準に基づく
  • 批判の目的は、次の行動を設計すること
  • このルールが共有されていれば、批判は成長のための対話になる。

    型の共有は、経営者の責任である

    「感情と評価を分離しろ」と個人に言っても、組織は変わらない。
    なぜなら、型は個人スキルではなく、組織設計の問題だからだ。
    経営者がすべきことは、以下の3つだ。

    ① 議論のルールを明文化する

  • 事実と評価を分ける
  • 結果目標と行動目標を分ける
  • 役割批判と人格攻撃を区別する
  • このルールを、会議の冒頭で毎回確認する。

    ② 判断基準を言語化する

    「戦略ミス」「判断ミス」という言葉が出たとき、
    何をもってミスと評価しているのかを明確にする。
    判断基準が曖昧なまま進めると、議論は感情論になる。

    ③ 型を使う場を設計する

    ルールを共有するだけでは不十分だ。
    実際に型を使う場を設計し、繰り返し練習させる必要がある。
    たとえば、事業レビューの場で
    「事実の確認」→「要因の整理」→「行動の設計」という順番を徹底する。

    【私の立ち位置】正解を出したいわけではない

    誤解のないように言っておくと、
    私は選挙結果について「正解」を出したいわけではない。

    ただ、判断するためのルールを整理したいと思っている。

    選挙であれば「なぜこうなったか」を要因分解すること。
    組織であれば「何が起き、どこに問題があったか」を切り分けること。

    それは、判断の前提を整えるための作業だ。

    判断そのものは、それぞれがすればいい。
    でも、判断するための材料がないまま感情だけで動くのは、
    組織にとって致命的だ。

    型がある組織は、感情で止まらない

    選挙報道も、組織の会議も、根っこは同じだ。

    型が共有されていないと、感情が前に出る。

    逆に言えば、型があれば、感情と評価を分離できる。

    批判を成長のための対話に変えられる。
    議論を前に進められる。

    そして、その型を設計するのは、経営者の責任だ。

    明日からの会議で、まずルールを明文化することから始めてほしい。

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